裁判所に令状を請求して,許可状を出してもらってから行う捜査です。
捜索差押検証など
捜索差押え
いわゆる家宅捜索などでよく使います。
シャブ関が所持品検査に応じない時なんかも捜索差押令状を取って強制的に調べたり。
また通信の秘密に該当するような通話記録なんかは令状を取って差押えという形で証拠を集めています。
なので逮捕状と比べると扱いがかなり多いです。
令状請求の要件も逮捕状と比べるとゆるめで,根拠となる刑事訴訟法にも逮捕状の場合は「相当な理由」が必要なのですが,捜索差押令状の場合は「必要な場合」としか書いてないので,証拠が少なめでも令状が出ます。
検証
いわゆる現場検証のことですが,現場検証とは言わず検証と言います。
令状を取らないで行う場合は「実況見分」です。
殺人など大きな事件だったり,犯行現場が被疑者の家とかで任意でやるとよろしくない場合に,令状を取って検証します。
ですから捜索差押えと比べると圧倒的に数は少ないです。
鑑定処分許可
鑑定などで物を壊さないといけないときに請求します。
司法解剖をするときは必須なので,鑑定処分許可状といえば解剖の時に請求することが多いです。
あとは科捜研などで証拠品を鑑定したいけど,所有者から破壊の許可が取れないときなど。
逮捕
現行犯逮捕は令状が必要ありませんが,その他の緊急逮捕や通常逮捕は令状が必要です。
任意捜査が捜査の基本ではありますが,捜査を察知したら逃げたり証拠隠滅したりしそうな人は逮捕してそういうことができないようにしてから取調べをします。
大きい事件になるほど逮捕することが多いです。(殺人で任意取調べとかほぼありえません)
逆に小さくなればなるほど逮捕する可能性は低くなりますが,住居不定だったりすると後日呼出しができないので自転車泥棒程度でも逮捕しなければいけません。
逮捕するか否かの基準
逮捕して取り調べるのは被疑者の逃走,証拠隠滅を防ぐためです。
逆にいえばそういう可能性が高くない場合,逮捕せずに任意で取り調べることになります。
逃走・証拠隠滅のおそれっていうのはいろんな要素を総合的に考えます。
罪種
例えば罪種。
殺人など刑罰が重い罪の場合,軽い罪と比べて刑罰を恐れて逃走する可能性が高くなりますよね。
ですから自転車泥棒で逮捕されることはあんまりありません。
故意犯と過失犯で比べると,やはり過失犯は故意犯よりトーンが下がります。
自分の意思でやったのではないですからね。
前歴(犯歴)
前歴があれば今までの経験を活かして逃走・証拠隠滅するんじゃないかと考えます。
なので前歴がいっぱいある人は逮捕されやすいです。
住居・定職・家族の有無
住居や家族や定職がない人は何も失うものがないので高飛びする可能性が高いと思われます。
逆にいえば軽犯罪や自転車泥棒でもこれらの状況が悪ければ逮捕されることがあります。
住居不定とか呼出しに応じないとか。
私が見聞きした例でも,頭のアレな人が出頭すればすぐ終わる軽犯罪の取調べに頑として応じず,仕方なしに逮捕されたことがあります。
こんなくだらないことで逮捕状を請求しなければならない担当係が気の毒でした。
年齢,持病
少年はその後の影響を考えて大人と比べると逮捕しないことが多いですし,高齢者も肉体的に逃走しにくいですし留置に耐えられないなどといった理由で逮捕されにくいです。
病気も高齢と同様に留置に耐えられないからという理由で逮捕しないことがあります。
私も経験でも,ある常習万引き犯が留置できないような持病を持っているばかりに逮捕できず毎回任意というケースがありました。
その人はそれをいいことにさらに万引きを続けてたんですけどね・・・その後やつはどうなったのだろう。
以上を総合判断
こういったことを総合的に考えて逮捕するかどうかを決めます。
新聞に載るような事件は重たい罪のものが多いですから,自然と逮捕が多いと思われるかもしれませんが,実際は逮捕せずに任意でやるものはたくさんあります。
参考記事
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