被疑者は逃げる習性があるので,しょっちゅう逃げます。
走って追いかけることもあれば,車で追いかけることもあります。
今回はそんな話を。
地獄の果てまで追うべきか
私は警察に入るまで,いや警察に入っても当分の間は
逃げた奴は地獄の果てまで追いかけるべきだ
と考えていました。
だって逃がすことを許していたら,逃げる奴が得をして素直に停車指示に従う人が損をすることになってしまいます。
ですから,そのころは私もけっこう無理をしていました。
ケガをするような事故がなかったことは単に幸運だっただけだと思います。
逃走車を追跡するときは,緊急走行をしないといけないですから,本部への報告が必要です。
それでいったんは追跡を始めるのですが,本部はすぐに「やめろやめろ」と言ってきます。
当時の私は「目の前で被疑者が逃げてるのに何言ってんだこいつ,死ね。」くらいにしか思ってませんでしたし,やめろやめろと言われるのが嫌なのでヤミ緊走(報告せずに緊走すること)もけっこうしていました。
そもそも逃げるような車は滅多なことがないと止まらない
しかし,そもそもパトカーで追跡するとはいっても,ぶつけて止めたら怒られるので,相手が根負けして止まるか,事故とか故障で止まるのを待つしかありません。
つまりなかなか止まりません。
ですから,先日あったように

いくら多くの車両で追跡しようが逃げられることはしばしばあります。
そう考えたらどこかで区切りは付けないといけないです。
第三者を巻き込んでしまうのが最悪
また,時にはこんな事件も起こります。

これは警察から追跡されていた車両が無関係の通行人と事故を起こして,その人が亡くなってしまったという事案です。
この件のように追跡中に第三者がケガをしたり死んだりするのは最悪です。
しかも,連続殺人犯とか今逃がしたら他の人を殺すかもしれないとかいう被疑者を追跡しているのならまだしも,そうではない道交法とかでこんな事故を起こしたら目も当てられないです。
亡くなられた人は本当に気の毒に思います。
キチガイが本気で逃げると,フルスロットルで交差点だろうが見通しが悪かろうが突っ走るので本当に怖いです。
緊急車両で安全確認しながら走ってても怖いのに,本当に頭がおかしいとしか思えません。
そういったことから,私もだんだんと「追跡が危険だと判断したら中止すべき」という昔私が死ぬほど嫌っていた考えに変わりました。
まとめ~現場で捕まえるのが一番確実なのも確か
でも追跡を止めて後から捕まえるのは難易度が高いです。
現場で捕まえれば現行犯なので簡単ですが,事後になると運転者と車両の特定とか面倒くさい問題がいろいろと出てくるので,できることならその場で捕まえたいのではあります。
なかなかその辺のバランスは難しいです。
その点,先ほどの記事にあった愛知県の事例では事後検挙がスピーディーですごいなあと思いました。
ですから,街中でパトカーが逃走車の追跡を中止するのは,いろいろと状況を考えて追跡を中止しているはずなのでそっとしておいてあげてください。
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