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犯罪は根絶できるのか,被害を減らすためにはどうすればよいのか

佐々木さんの上記一連のツイートに関して書きます。

被疑者の心理や背景がすぐに分かるか?

まず大きな事件が発生すると発生直後から「真相は?」とか「背景は?」とか言われることについて。

そもそもそんなことが簡単に分かるわけがないです。
少し考えたら分かると思うのですが,自分の家族や友人など自分の親しい間柄の人物でも,時折理解不可能な言動をしますよね。
親密な関係にある人ですらそれです。
なのに会ったことも話したこともないような人の複雑な心の内がなんで簡単に理解できると思うのでしょうか。

少し話がずれますが「泥棒にも三分の理」という言葉があります。
私が警察官をしていた時にいろんな被疑者と話をして思ったのですが,彼らには彼らなりの理が確かにあります。
でもそれは彼らの背景や生い立ちが分からないと,理解不可能というか身勝手な理由だと感じてしまうことが多いです。
取調べをするときには被疑者のことをできるだけ理解しないと話をしてくれないので,努めて理解しようとしていましたがそれでも難しいと感じていました。

このように取調官という事件について被疑者のかなり深いところまで入り込む立場でも,やっぱり分からないものは分からないです。
あくまで裁判用の,万人が納得しやすい表面的なものくらいしか抽出できません。
いわゆる「真相」は本人くらいにしか分からないのかもしれません。
それを昨日今日のニュース程度の情報で背景が理解できると思っているのならそれは非常におこがましいことです。

真相を調べるには,佐々木さんの言われているように時間をかけてじっくりと追っていくしかないと思います。
逆にそのような時間をかけた真相の調査は警察などではなく,ジャーナリストだからこそできることですから,ジャーナリストの方々は表面だけをなぞったような内容だけを追うのではなく,そういったことに矜持を持ってよい記事を書いて欲しいです。

発生ゼロを求めるからおかしなことに

次にどうしたらこういう事件を減らせるのかについて。

言い方は悪いですが,こういう事件は一定確率で発生するのでどうしようもないと思います。
もちろん警察の検挙などを通じて減らしていかなければならないのは当然ですが,異常な行動をする人はどうしても一定割合で存在するので絶対にゼロにはできません。
ある程度までは努力で下げられるでしょうが,それ以上はもう地震や火山の噴火と同レベルの話だと思います。
人間も生き物なのでイレギュラーは存在します。

そこを無理やりゼロにしようとすると,予防しかありません。
予防で根絶するとなると異常な行動をした人の属性を捉えて,その属性を持つ人を予備軍のように扱うようにするしかないですよね。
それが一番よくない流れですが,最近そういう流れになりつつありますよね。
今回の引用ツイートのように引きこもりは危ないとか,最近の他の例でいえば高齢者に運転させるなとか。
物事を単純化させすぎではないでしょうか。

少しでも被害を減らすためには

被害を抑えようというのなら,被害者側に求める方が現実的かつ効果的ではないかと思います。
具体的には護身とか避難とか防犯的な手法です。もしもに備えるという考え。

ゼロリスクを求めがちな日本ですが,一方で被害に遭わないようにするという考えは意外と希薄で,それどころかタブー視されることもあり,これはこれでよくないと思います。
特に性犯罪とか顕著です。

例えばいくら日本が治安がいいとはいっても,真夜中に若い女性が暗い夜道を一人で歩くべきじゃないです。
住む場所を考えるとか単独では歩かないとか何かしら対策をしないのではないでしょうか。
もちろん一人でも歩けるような環境が理想ですが,現実は一定割合で無防備な女性を狙っている人はいます。
ニュースに出てこないような性犯罪被害はたくさん発生しています。不審者による声かけレベルのものを含めるとさらに多いです。
ですから自分でそういう被害に遭わないように身を守るのが第一です。
熊がよく出るところに行くときには熊用スプレーとか熊鈴とかなんらかの対策をしますよね。
それと同じじゃないでしょうか。

しかしなぜかそういうことを被害者に言うのはタブーとされています。
確かに発生してしまったものに対してそれを責めても仕方がないのですが,それとは別に今後の防犯指導をするというのも必要であるのではないでしょうか。

まとめ

犯罪は減らせますが根絶は無理です。
そういうそもそも不可能なことを無理矢理やろうとすると,不当な差別を受ける人が発生してしまいます。

ですから,被害を減らすためには自分で自分の身を守ることをもう少し考えた方がいいのではないでしょうか。
本記事では性犯罪を例えにしましたが,あらゆる犯罪でもそれは当てはまると思います。
自分が犯罪の被害に遭わないように日ごろから用心したり,もし被害に遭いそうになったときにどうするかを訓練したりシミュレートすることは必要だと思います。

どうしてもそれが嫌なのであれば,一定確率で被害に遭うかもしれないというリスクを許容するしかないのではないでしょうか。

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