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被害者が常に正しいとは限らない

その他

警察で仕事をして一番役に立ったことは,「人の話を鵜呑みにしなくなった」ということです。
それは相手が被害者であってもです。

被害者でも嘘をつく

事件を認知すると,その事件の関係者から話を聞きます。
被害者,被疑者(犯人),目撃者など参考人。
それぞれから聞いた状況に最初から矛盾がないなんてことはまずありえません。
だいたい矛盾だらけです。

被疑者はもちろん自分の都合のいいように話を変えてきますし,被害者であってもそういうことがしばしばあります。
特に被疑者と被害者が知り合い同士の場合にそれが多いです。

目撃者などの参考人だと比較的客観的な状況が分かることが多いですが,被疑者・被害者と何らかの関係のある参考人だと,やはりどちらかに偏った話に作りかえられていることがしばしばです。

以前の記事で話題にしましたが,被害者だけどクズみたいなのはいくらでもいます。
被害者だからといって鵜呑みにはできません。

でも自分が話した人のことは信じたくなる

でも実際に人から話を聞いていると,不思議とその人の話を信じたくなってしまう傾向があります。
話をしているうちにその人に少なからずシンパシーを感じてしまい,何かしらひいきにしてしまう心理が働くのではないかと思います。

例えば被疑者の取調官をしていて,被疑者がある程度自供していると,細かい嘘が見抜けにくくなるように思います。
「これだけ俺に対して正直にしゃべってくれてるんだから,もう嘘はつかないだろう」という感じ。

人から話を聞くときの警察のやり方

そのように人から話を聞くときっていうのは,いろんなところに落とし穴があるので,警察では聴取した内容をいったん指揮者に報告して内容を検討します。
関係者全員の話をまとめると,だいたい被疑者が言っていることと被害者が言っていることの真ん中あたりに正解らしきものがあることが多いので,その辺にすりあわせていきます。

具体的には矛盾するところをもう一度供述者に聞いて,またそれを検討して・・・という繰り返しです。
矛盾がなくなるところまでそれをやります。

私もご多分に漏れず何度もだまされました。
自分の報告内容に対して上司から「あんたが調べた●●が言ってるこの部分は多分違うからもっとよく確認して。」と言われると「いや,●●の言っていることは正しいと思います。」と大見得を切って後で恥をかいたり。

そうやって嘘つきのプロ相手に何度も騙されるうちに次第に耐性がついてきて,だんだんだまされにくくなりました。

まとめ

特に客観的な証拠がないものって,本当にお互いからよーーーく話を聞いてみないと,事実がどこにあるか分からないです。

被害者は被害を被った人なので,もちろんある程度配慮はしないといけない存在ではありますが,一方で嘘ついたりすることも多いので盲目的に信じると痛い目に遭うよというお話でした。

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