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交番,駐在所とは~いろんな意味で落差が激しい部署

警察の組織

警察の基本,交番の仕事について書きます。

仕事の範囲

警察で扱う仕事の大半を扱わないといけません。

そのかわり,さわりというか初動的なことや受付的なことだけに限られることが多いです。
初動的なことをやったら専務(内勤)へ引き継ぐので,自分たちだけで責任を持って最後までやらないといけないものは意外と少ないです。

そのため楽をしようと思えば楽ができる抜け穴的なところがけっこうありますが,逆に自分でやろうと思えばかなり深くやることもできるので奥が深いです。

ですから交番で優秀な人はその辺の平凡な刑事とかよりはよっぽどかすごいです。
例えば交番だけで令状請求までの書類をさっさと整えたり,管内の素行不良者たちから「○○さんの言うことなら聞く。」と神のように崇められていたり。
数は少ないですがそういう人がたまにいるのが面白いところです。

交番が楽だっていう人は,よっぽどヒマな交番にばかりいた(ヒマなところしか任せられない)ポンコツか仕事をサボっていた人なので,いずれにしてもアレな人である可能性大です。

主な仕事

範囲は広いですが,そうは言っても主に扱う仕事はある程度パターン化しています。

地理案内

地理教示(ちりきょうじ)と言っていました。
ある交番へ着任したらまず覚えないといけないのが管内の地理です。
自分が知らないと地理案内なんてできないですし,現場に行くのも遅れてしまいます。

しかし交番の管轄ってそんなに広くないので,1か月くらい警らでグルグル回っていればだいたい頭に入ってきます。
都市部の普通の交番だと○丁目,繁華街の交番だと○丁目○番くらいまでは覚えてしまう感じです。

同じ交番に長年いると,管内の住所をほとんど暗記しており人間ゼンリン地図のようになっている人もいます。
○丁目○番って言っただけで,「そこは○○の隣だから,ここからまっすぐ行って~」とかってすぐに答えが出るので若干気持ちが悪いです。

落とし物

取扱いの数でいえばこれが一番多いでしょう。
人間ってこんなに物を落としたり忘れたりするんだなあとある意味感心します。

人の親切心を如実に感じられることもあれば,汚なさをモロに感じることもあり,これも簡単そうで意外と奥深い業務です。

参考記事

警ら

パトロールです。
警戒のためだけに警らをすることもあれば,職質対象や交通違反を探しながら警らすることもあります。
ノルマがありますからね。

交番によって徒歩だったり自転車だったり車だったり乗り物は変わりますが,それぞれいいところと悪いところがあります。
車は屋根もあるしエアコンもあるので快適なのですが,細かいところまで目が届きません。
その点自転車や徒歩は細かいところまで目が届きますが,天気や寒暖の影響をモロに受けます。

現場対応(急訴対応)

110番受理台や署で事件の通報(まとめて急訴と呼んでいました)を受理すると,管轄の交番などに指令されて現場へ行きます。
交番に直接通報が入ることもあります。

多いのは交通事故や駐車苦情やもめごとなどですが,当然ながら交番の立地によって扱う事案は全然違います。
管轄内に幹線道路があると事故が多いですし,繁華街だともめごとや酔っ払い関係が多いです。
大型店舗があると万引きが,工場が多いと労災が多いなどホントいろいろ。

事件処理

急訴対応や職質などで立件しないといけないものについては立件します。

逮捕事案は専務引継ぎですが,任意事件は交番でやることが多かったです。
明確に交番でやりなさいって決まっていたのは簡易書式(定型的で比較的軽微な犯罪はこの書式で処理します。いろいろ要件がありますが省略)や微罪処分(簡易よりもさらに軽微なやつを処理するときに使います)で,これらは一件書類を交番で作る必要がありました。

それ以外の簡易等に当てはまらないものは基本書式っていうので作られるのですが,これは一応専務引継ぎということにはなっているものの,専務も忙しいので交番がある程度作る必要がありました。

あと発生もの(被疑者が分からないやつ)の場合は,被害届と実況見分調書というのをセットで作るのが交番の仕事でした。
これも被害品が多かったり,侵入盗でやたらと物色されたりすると作成が大変です。

相談

交番って警察署とかと比べると入りやすいのでしょう,けっこう相談があります。
交番で相談というとのほほんとした感じもしますが,昨今は世知辛いので書類をきちんと作って顛末をはっきりさせなくてはならず,意外と時間を食って大変でした。

相談が私の一番嫌いな業務でした。

書類作成

警察は役所の一つなので,基本的になんでも書類にします。
地理案内はさすがにないですが,朝引継ぎをしても書類,落とし物を受理しても書類,被害届を受けても書類,相談受けても書類…といった感じで,交番の中でしか扱わない軽い書類から被害届などの重めの書類まで様々。

交番に警察官がいるとき,何かしら書き物をしていたりパソコンをつついていたりすることが多いのはそういった理由からです。

巡回連絡

何もしてないのに交番の警察官がいきなり家庭訪問してくるアレです。
警察独自の情報収集活動です。

管内を一件一件回ると,ここにはこんな人が住んでいる,ここの人間はヤバい要注意,とか様子が分かって面白いです。
いろんな人と話をしたり,そういう世間話から面白い情報が入ったりするので私はけっこう好きでした。

ただ昨今は世知辛い世の中なので,制服+警察手帳を見せても疑われたり,なかなか協力してもらえなかったりと難しい活動でもあります。
ただこれで把握されていると,事件事故などで警察が緊急に連絡を取りたいときに一発で連絡が取れてとても便利なので,普通の人は素直に協力した方がいいと思います。

また他の活動と比べると優先順位が低く,急訴などに追われてあまり出来ていないのが現状です。
まともに機能しているのは警察官がいっぱいいる東京とヒマな田舎部くらいじゃないでしょうか。

その他

交番の位置にもよるのですが,防犯登録の受理とか制限外積載の許可とかもたまに来ます。
たまにしか来ないので内心パニック状態になりますが,あくまで平静を装わなければなりません。

勤務人数

ヒマなところだと1人しかいませんし,繁華街の交番だと実習生(警察学校出たての人,実員外の扱い)とかも合わせると10人近くいたりします。
一人勤務がいいっていう人もいましたが,私は一人だとちょっと寂しかったというか心細かったです。

その他

駐在所と交番の違い

駐在所は警察官が1人とか2人,そこへ住み込みで働いてます。
もちろん24時間ずっと勤務しているわけではなく,変則的な日勤をしており,勤務時間帯以外は基本的に閉まってます。

私も警察官になったからには一度は駐在所勤務もしてみたかったのですが,機会がありませんでした。

駐在所は 基本的にヒマなところが多いですが,中にはなぜここが交番ではなく駐在所なのだろうというような忙しいところもあります。
そういうところに行くと悲惨です。

交番は三交替勤務なので常に人はいますが住んではいません。

幹部交番

管轄が広い署が遠隔地に拠点として設ける施設で,交番と警察署のあいのこみたいなやつです。
統合で警察署を廃止にしたところとかがよく幹部交番なってますね。

普通の交番は警部補以下しか勤務していないのですが,幹部交番は警部がいますし,場所によっては交通や刑事の専務員が詰めていてミニ警察署みたいになっているところもあります。

今もある派出所

昔は交番のことを派出所と言っていましたが,今は交番に統一されています。
ただ警備派出所という例外があってこれは常に人がいない交番みたいな感じでイメージしてもらえばよいかと。
私のいた県では空港に警備派出所がありました。
管轄は空港内だけなので,空港が閉まると派出所も閉まります。

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