ニュースなんかでよく写る鑑識は,刑事と一緒で一般人からいろいろと誤解されがちな職種です。私の警察歴ではこの部署が一番長く,それだけ愛着もあるところです。
組織的なこと
本部や署の体制
私のいた中規模県だと
- 本部:鑑識課
- 中大規模署:刑事課(または刑事第一課)鑑識係
- 小規模署:刑事課(または生安刑事課)刑事係
の人が鑑識の仕事をしていました。
本部には三交替の機動鑑識(略して機鑑(きかん))というのがいて,24時間体制で大きな現場などに臨場します。
警察犬も本部鑑識課に所属しています。
交通事故現場の鑑識は?
鑑識は刑事部なので,事故現場へはあまり行きません。
大きな現場があったときには一応行ったりしてましたが,普通の鑑識が事故現場に行っても路面のこん跡とかはよく分からないのであまり役に立ちませんでした。
テレビに出ているような交通鑑識は,私のいた県では本部にしかいませんでした。
鑑識の仕事
現場の仕事
資料採取
事件現場で資料を集めるのが主な仕事です。
指紋とか足こん跡とかDNAとか。
集めた資料については,指紋や足こん跡は本部へ,DNA資料なんかは科捜研へ送って鑑定してもらいます。
指紋やDNAとはいっても,何も手がかりのない現場からいきなり被疑者に当たるなんてことはなかなかなく,地道な作業を繰り返しているとたまーに当たるかな,といった程度です。地味です。
実況見分(現場検証)
大きな現場では実況見分(いわゆる現場検証)をするのも鑑識の仕事です。
写真撮ったり図面書いたり。
参考記事(実況見分)
検視
変死があるとだいたい行きます。
写真撮影や死体観察などが主です。
警察犬
警察犬というと犯人が残したこん跡をたどっていく,というイメージが強いかと思います。
そういう出動ももちろん多いのですが,それよりももっと多いのが行方不明者を探すための出動です。
ところで警察犬には専属の警察官が直接訓練して出動にも当たる直轄警察犬というのと,民間にそれらを委託する嘱託警察犬というのがいます。
直轄警察犬ってあまり数がいないので,それだけでは行方不明者捜索などには手が回り切りませんし遠隔地だと展開も遅くなるので,それらを嘱託警察犬でカバーするという感じです。
その他
現場がないときは,捕まった被疑者の指紋や写真を取ったり,それらの情報を整理をしたりしてます。
ヒマなときは新たな鑑識技術や鑑識機材を研究してみたり。やはり地味です。
鑑識の大変なところ
呼出しが多い
事件が発生するとまず現場鑑識をしないといけません。
それが終わらないとその先に進めないからです。
ですから呼出しがけっこう多いです。
暑くて寒い
現場に這いつくばって作業したりすることも多く,交番勤務員並みに四季の変化をダイレクトに実感できます。
真夏のゴミ屋敷内でマスクや各種カバーを付けての検視作業や真冬の火事現場の実況見分などはなかなか体に応えます。
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