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警察のカメラ~特殊な記録媒体を使っています

警察の装備

私が警察にいたころのカメラの変遷などについて書きます。

一眼レフカメラとインスタントカメラ併用時代

ポラロイドカメラ

世間ではデジカメはもうかなり普及していましたが,デジタルだと改ざんの恐れがあるとか何とかで警察の主流は相変わらず35mmフィルムの一眼レフカメラが主流でした。

でもそれだと現像に時間がかかるので,急ぎで必要な場面についてはなんとインスタントカメラ(現場での略称:ポラ)でも撮影していました。

今ではもう完全に死語ですね。知らない人は下記記事からどうぞ。

インスタントカメラ - Wikipedia

当時でもインスタントカメラはもう絶滅寸前でしたから,「なんだこりゃ?こんなん使わないといけないの?警察ヤバくない?」って思った記憶があります。

一眼レフカメラ

本体

当時の一眼レフはペンタックスのLX,MXやニコンのFM2とかでした。

カメラアーカイブ:ペンタックス MX:中村文夫:カメラファン

フィルムを手で巻かないといけませんし,もはや骨董品レベルです。

手巻きってうまくやらないとフィルムが中で切れてしまったりするんですよね。
あと上手く巻けてなくてフタを開けたらまだ巻き切っていないフィルムが残ってて真っ青になったり・・・当然すべて感光してパーです。
今では存在しなくなった懐かしいミスです。

慣れてきたらフィルムのベロ出しをしなくても済むようにちょっとだけベロを出した状態に巻き戻せるようになるんですけどね。

ベロ出しというのも死語について少し。
当時はフィルムの現像を本部の鑑識課が行っていたのですが,フィルムの端っこをちょっとだけ出した状態にして本部へ送らないと怒られました。
そのちょこっとだけ出た状態がベロを出してるみたいな感じなのでベロ出しと言っていました。
フィルムのベロ出しは当時鑑識に配属されると一番最初に習得しなければならない技術のうちの1つでした。

ストロボ

ストロボもナショナル(パナソニックではなくナショナルです)のPE-381SGというクソでかいやつでした。

外光オートのストロボです - PE-381SGのレビュー | ジグソー | レビューメディア
ナショナル(現パナソニック)の外光オートタイプのストロボです。ガイドナンバーは画角28mm相当で38(ISO100/m)と光量はそれなりに大きいと思います。ワイドパネルで20mm、テレパネルで135mmをカバー。バウンズは上方90度、右13...

これがそうで,当時練習用にわざわざヤフオクで探し出して買った一品です。
ただこれって意外といいところもあって,マウントからストロボがすぐにぽこっと外れてコードの範囲内で動かせます。
今主流のカメラの頭,シュー部分につけるやつよりは応用がきいて便利でした。

警察の写真って接写が多いので,シュー付けのストロボだと近すぎて上手く写りません。
その点こいつはすぐに外してストロボの位置を調整できるのでよかったです。

そういった意味ではデジカメになってからはストロボがシュー付けになったので,接写がかなり面倒くさくなりました。
ポップアップのストロボとシンクロさせたりすればいいんでしょうけど,面倒くさいです。
PE-381SGみたいな単純なのじゃないと現場では使いにくいです。

カメラやストロボの中身自体は古くなっても意外と壊れないのですが,接点や接続コードがよく壊れました。
現場でストロボの調子が悪くなると最悪で,コードをグネグネ動かしてなんとかご機嫌を取って撮影していました。

普通のデジカメと35mm併用時代

そのうちポラは絶滅し,代わりに普通のコンパクトデジカメを使っていました。
ただやはり普通のデジカメは改ざんの恐れがあるという理由で正式な写真としては認められておらず,35mmとコンデジ両方で撮っていました。

つまり急ぐ書類(令状請求とかとりあえず送致する分とか部内報告用)はデジカメの写真を使うのです。
で,現像が帰ってきたらまた改めて裁判用にも耐えられるように正式な(?)報告書を作ると。
なので,同じ書類を2回(デジカメ写真と35mm写真で)作ることが多く,時間がかかるし馬鹿馬鹿しいなあと感じていました。

私のいた警察では,写真の報告書については写真撮影報告書という県独自の書式で作っていたのですが,この当時デジカメの是非について一番喧々諤々していたため,「デジカメは本当の写真じゃないから捜査状況報告書で作るべき」とか,今になって考えるとホントにどーでもいい意味の分からない試行錯誤がいろいろと行われていました。

あとコンデジもすぐ壊れてましたね。
使い方がどうしても荒いですし雨天の屋外でも使うのですから丈夫なやつを買えばいいのに,なぜか当時の会計課は普通の安いコンデジを買っては壊すというのを繰り返していました。
1年持てばよい方で半年くらいで壊れていました。
消耗品の限度額の関係でショボいコンデジしか買えないということだったらしいのですが,公務員のこういう無駄遣いをするところが本当にバカだと思います。

書き切り型デジカメに移行

平成22年ころだったと思いますが,やっと書き切り型のデジタル一眼レフカメラが導入されました。

ペンタックスのK20Dの書き切り媒体バージョンです。

K20D|デジタル一眼レフカメラ | RICOH IMAGING

書き切り媒体とは見た目は普通のSDカードなのですが,一回しかデータが書き込めないようになっている改ざんの出来ない特殊な媒体です。
一般には売ってません。

今警察で使っているデジカメは基本的に書き切り媒体を使ってます。
相変わらず信用されてないです。

レンズも明るいよいレンズとマクロレンズの2本が配布され,なかなか贅沢でした。

いいレンズだとは思いますが警察的にはオーバースペックでした。
このレンズの特性を活かせる場面はあんまりないです。
レンズの明るさってそれほど必要ありませんし(そういう場所だと最初からストロボ使います),
それよりもこのレンズは大きいのでポップアップストロボで撮影しようとすると影ができるのでちょっと使いたいときに逆に不便でした。

マクロレンズはタムロンかシグマのありきたりなものでどれだったかよく覚えてないです。

この機種も本体が壊れることはなかったですが,ストロボ(純正のAF540FGZがついていました),特に接点がよく壊れました。

一日に何回も脱着するし,付けた状態であっちこっちぶつけたりするので仕方ないですよね。

書き切りデジカメ第二世代

Kiss・・・

K20Dが導入されてから4年後くらいになんとキャノンのX7iが導入されました。

Kissですよ,Kiss・・・
警察の写真屋も一応プロの端くれですよ。
キャノンもキャノンでなんでわざわざKissで書き切り媒体用なんか作るんだ・・・超バカにされた気分です。

しかもレンズはレンズキットについてるショボいのだけで,マクロレンズなし。
当時の選定者は何を考えていたのかよく分かりません。

しかし使ってみると案外使い勝手がよかったです。
警察で使う程度ならこれでもいいのかなと思ってしまい,ちょっと悲しくなりました。
ただ,マクロレンズがなかったのは本当に困りました。

書き切り型のコンデジも普及

またこの頃には書き切り型のコンデジも普及し始めていて,接写の時などはコンデジ使ったりしていました。
書き切り型のコンデジは防水防塵な丈夫なタイプが多くて以前よりはマシになってましたが,やはり故障が多かったです。
警察の使い方がいかに荒いかがわかります。

まとめ

年々状況は改善されつつありますが,相変わらず交番にまでは書き切り型デジカメは普及していませんでした。
今はどうなのだろう。少し気になります。

コメント

  1. 匿名 より:

    楽しく拝読させて頂きました。
    プリクラの機械の中にさえ2桁台のEOSが入ってるというのに、警察ではkissを採用している話は大変興味深く面白かったです。公費節約の観点からエントリー機にしているのですかね。

    • 山根 厚介 山根 厚介 より:

      コメントありがとうございます。
      私が聞いたところによると,当時の機材選定担当者がポンコツだったという話ですが,真偽の程は確かではありません。

  2. 千葉博之 より:

     私も現職時代ニコン、ペンタックスなど使用した時代がありました、平成10年ころからはメモ用デジタルとして最初は80万画素そして200万画素~500万画素コンデジを使用していました。現在はすでに退職し年金生活ですがデジタル一眼レフカメラのジャンク品を購入し修理して使用試写等をしています。昔使用していたペンタックスK20D Wをジャンク購入使用中です。 昔が懐かしいね

    • 山根 厚介 山根 厚介 より:

      コメントありがとうございます。
      W、手に入るのですね。

      私が在職中に車にひかれてお亡くなりになったW本体がありました。
      直せば使えるのではないかと思い、廃棄手続き後に本体をもらってPentaxに修理に出したところ、「なんでこれ持ってるの?」と怪しまれた記憶があります。
      結局修理不可能でしたが。

      懐かしいです。